どうなっても、知らないから

結婚、それはまだ私には縁の無い言葉だと思っていた。でも時としてそれは何の前触れも無く襲ってくるものだ。
彼女が妊娠した、その事実を私は先ほど知らされた。既に妊娠三ヶ月だそうだ。私はその責任を取って結婚しようと思う。向こうの両親とも今日会ってお話をしてきたが、一発殴られたがそれは仕方が無い。唯の未だ未成年のガキに娘を取られるのだから。そうして今思うと非常に若かった自分が今は懐かしくもあり恨めしくもある。確かに私には彼女以外には考えられないとも思っていたが、私は未だ高校を卒業したばかり大学もようやく決まったばかりの身の上だ、とてもじゃないがそれじゃあ彼女とこれから生まれる私も子供を養う事はできない。私は進むことを決めていた大学を蹴って、就職先を探すことにした。この就職難の時代にそんなに割りの良い仕事なんて高卒の私には無い事はわかっているがそれでも仕事を探す、両親に頼るわけにはいかないし、なおさら彼女の両親や彼女に頼るわけにもいかない。自分が彼女と子供を養うと決めたのは男としてもプライドがあったからだろう。進学を蹴ったことに後悔は無いわけではない、でも今横にいる彼女の幸せそうな表情に今は浸っていたい。そして彼女達を私が一生をかけて守っていく、そう実感した日だった。
いつかは私にもこんなときが来るのかなぁ、と思いつつ今日はエイプリルフールな。ここから下は嘘は書きません。
実際に本当に命を懸けてこの人を守り抜く、と思った経験は無いわけではないですが。私自身の過去を振り返ると後悔ばかりの人生でもありますが、将来本当に出会ったとしたら出来る限りの事はしたい、と思っています。自己嫌悪はもうこれ以上ないほどに経験はしましたから。あの時こうしておけばよかった、そのときが来た際にそう思えないくらい出来る限りの事をやりたい。